昨年、InterBEEのチュートリアルセッションで触れた話をしたいと思います。劇場における映像配信及びショーコントロールのシステムについてです。

 これまで、劇場におけるプロジェクションというと、Paniプロジェクションに代表されるスライドプロジェクターなどが主流を占めていた。しかし、昨今のプロジェクターの進化により、これらはプロジェクターによるデジタル映像の演出に切り替わっていく方向にある。しかもプロジェクターの使い方は、これまでのように正面やリアから映像を射つような画一的な使い方ではなく、ブリッジから真下に向けて照射するとか、シーリング位置から斜め下へ照射するなど、さまざまな使い方が予想される。これらは実際、プロジェクターを利用した演出が増える最近の演劇などを見ていれば、理解できることではないだろうか?

 そうすると、必要になるのは任意の位置から映像を分配するシステムであり、そのインフラは長距離にわたって敷設されるが故に光ファイバーがもっとも合理的となる。そして映像を照射したいポイントというのは、照明が器具を設置したい位置と合致するため、照明のDMX用インフラも同様に同じ光ファイバーで伝送すると何かと都合が良い。そうすると光ファイバーの端末処理を行う拠点は映像と照明で共通の位置になることが予想できる。これは今後、光ファイバー敷設の際に考慮すべきポイントになるだろう。

 例えば、調光室などから映像を送出する場合、そこに光の端末があれば、SC端子で任意のメディアコンバーター(TX)が接続できる。そして、出力したい位置の端末にはレシーバーを設置することで、そこから映像を取り出すことができる。このとき、取り出す位置、すなわちプロジェクターを設置する位置となるのは、概ね照明と同じような位置が想定される。すなわち上下のフロント、シーリング、奥舞台など、そういう箇所に光の端子があれば、映像分配のインフラは簡単に構築できる。

 さらには、今後、照明と映像は同期して制御することが求められるようになり、場合によっては機構などとも連携する可能性があることが予想され、それら制御のプロトコルはMSC、RS232, I/O, DMXなどいくつかの種類のプロトコルがすべてOverEtherする環境になっていくだろう。それが最も合理的インフラ構築の手段であるからだ。

 そうしてできあがるショー制御のネットワーク環境は、結果的に現在の産業用ネットワークに見られるリングプロトコルなどを活用した経路を2重化したシステムとなり、その分野の方々が「舞台のネットワークはわれわれの産業の仕組みとまったく同様で、ここまで進んでいるとは知りませんでした」という感想とともに、それが近い未来には実現されるだろうことを思うのです。そして話は劇場における映像セクションの確立の話へとつながっていきます。