日本においてセノグラフィー(Scenography)というと舞台の構成技法とか、舞台美術の1つのアプローチのように認識されるが、ジョセフスボボダが行ったいくつかの演出は、照明と映像など空間を見せるためのビジュアルデザインであり、舞台美術に限定したものではなく、今のインスタレーションアートに近いと思う。そしてまた歴史を読む限り、彼のデザインのいくつかは照明デザインに近いものも多い。 一時期、空間演出とか空間デザインなどと言う肩書きでバブル時代に怪しい人がいたこともあり、空間演出という言葉はあまり使わなくなったと思うが、このセノグラフィーもまた時代とともに忘れられていたかもしれない。私自身も、愛知で佐藤氏の意見を聞くまで、記憶になかった。 しかし、こうして今、映像と照明と舞台美術が同期するような演出が求められるとともに、実際にそれが可能な時代になった今、セノグラフィーはスボボダの想いとともに舞い戻ってきたようにも思える。それはすなわち今のトータルコントロール又はトータルデザインの概念としてである。 最近のビルディングプロジェクションなどは、パフォーマーもおらず、また映像を見せるというわけでなく、そこの照射してその空間を体感させるという意味で、それはインスタレーションアートに近いもので、照明や映像が主役になる特殊な分野である。昔は巨大なプロジェクションだけですごいと言うような錯覚もあったが、今はこれに音も照明もきちんとデザインされてコントロールされなければ、認めてもらえない。その意味では、ようやく本当に複数のエレメントが一体となるセノグラフィー的な演出が評価されるようになったとも言える。 自分には、このセノグラフィ-がトータルショーコントロールとそのデザインを指しているように思えてならない。要はビジュアルを構成する要素がすべて絡み合うデザインのことだと思うのだが。。そこに舞台的パフォーマンスが加われば、シルクのような世界観になるかも。