これまでの常識や価値観などスタンダードだったものが新しい変化の波にのまれ、時代が切り替わる瞬間というのは、歓声もなくただ静かに、誰にも気づかれることなく起こるものだ。ファンファーレは鳴らない。

  今、ステージ業界だけにとどまらず、非常に広範な領域で、トータルなビジュアルディレクションが、重要なものになっているのは、きっと誰もが認識しているだろう。そして各分野の人たちは、照明的とか映像的というような形容詞でもって、すでに感じているはずの現実をそれぞれの分野へ押しとどめるような言い方をする。 しかし、やはり現実はもっと激しいものだと思う。

 照明演出に映像はすでになくてはならないものになりはじめ、照明効果と映像効果が強い結びつきを持ち始めていることも実は、多くの人が認識しているのである。BarcoがHighendを買収したのは、単なる話題作りではないと思う。映像演出と照明演出の融合は、この先に具体化していくのだという認識によるものだと思う。  

 私が、愛知万博の頃、とてつもなく大きな危機感を感じたのは、ビジュアルディレクションのスタイルがまったく新しいものへと切り替わったような錯覚を感じたからだが、当時からメディアサーバーとか、ムービングプロジェクターといったものはあったし、それが劇的というほど劇的だったかというとそういうわけでもない。しかし、新しい波が来ているなという実感があった。それがデジタルライティングではなく、もっと大きな何か、そういう漠然としたものをイメージしていたのだが、メディアサーバーの可能性は、構造を変える破壊的なエレメントだなという危機感だけははっきりしていた。
 ( 照明と映像のはざま2 )

  当時のカタリストは、これで本気で映像を扱うつもりか?という程度だったから、MACとカタリストを本気で信用したわけではなかった。ただコンピューターテクノロジーの破壊的イノベーションというやつだけは知っていたから、いつか何かが起こると感じていたし、それがとても広範囲で動き出すことも理解できていた。しかしながらそれがいつかは、誰にもわからなかった。。。

 プロジェクターの進化は、必ず新しいムーブメントを起こし、これは照明にも大きな影響を与える。LEDの時代からプロジェクションの時代へと必ず時代は動く。それはきっと3次元的なもの。 最近、話をした映像さんの意見を聞いていて、間違いないと自分の想像を評価できた。ただ、私の場合、照明にもその想像が膨らむことが1つの違い。。。