Show Technology2

トータルショーコントロール/(株)Mileruntechのブログ

2011年10月

リダンダントシステムを考える 1

ショーコンソールが高度になればなるほど、つまり要求が高くなればなるほど、ソフトウェアへの依存は高まり、そのアプリケーションの万が一というリスクも同様に高まる。故に照明が複数のコンソールを同時に運用するようになったのは自明の理である。

 これは特に照明コンソールの話であるが、ショーをCueで管理し、それらシーンを1つのメモリーとして保存して再生していくようになったオートメーション(機構装置)のコンソールや、又はPAのデジタルコンソール、MediaServerの為のコンソールにおいても同様に、1つのコントローラー装置だけでショーを行うことに、まったくの不安がないわけでなく、それらをどうバックアップしていくかというのはショーシステムを運用していく上で重要な要素になっていく。

 これは装置の話だけでなく、ショーデータの保護という観点からも重要な話である。
現代のショーにおけるプログラミングデータは、昔のショープログラミングと比較して、作られるデータ自体が複雑化しており、簡単に作り直せるものではなくなっているという点がある。装置は取り替えることができてもショーデータを失うと再現することが不可能になるのである。

 そういうリスクを抱える現代のショーコントロールシステムでは、(照明では)複数のコンソールを並列に稼働させ、これをネットワーク上で運用する。こうすることで、もしメインのシステムがダウンした場合、自動的にバックアップシステムに切り替わるようになる。DMX出力をローカルポートからとると、こうした自動の切換えは不可能となるし、また常に変化するショーのステートを維持するためにもネットワーク上で複数のシステムが同期することは非常に重要である。

 照明システムにおいて、コンソールのシステムにバックアップを考慮するのは、当然ながらそれが失われると全システムが止まるからであり、個々の負荷に比べれば、被害が大きい箇所であり、そこに気を遣うのはあたりまえである。これが映像であれば、送出装置の1つがダウンした場合に、もう一方に切り替えられるようにするだろう。このとき重要なのは送出装置であり、やはり映像送出にとって映像の元が重要な点である。

 リダンダントシステムは、万が一のトラブルが発生したとしても、その被害を最小限にとどめ、システムを止めないことが基本である。こうして考えると、ショーの基幹システムを守る点において、照明ならばコンソールとその信号の伝送系であり、映像なら送出装置とそのコントローラーまわりだろう。

 この考え方はネットワークだけにとどまらず、ショーコントロール全体において必要な考え方であり、どんなシステムでおいてもこのリダンダントシステムの概念は必要になるのである。そして特に制御信号に関して言えば、ネットワーク化することで、それが容易に実現可能であることから、大きな劇場がネットワーク化へと舵をきる大きな要因となっている。





sACN とArtnetの混在

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 sACN ( DMX over ACN )プロトコル。このDMXのためのイーサネットプロトコルについて話す人は、正直なところ、かなりマイノリティーであろうと思う。最近になり、ようやく照明業界でArt-netを使いだしたところに、そもそもsACNを受けられる機器がETC社にしかなかった状況では、それもうなづける話だ。

 さて、そんな中、LuminexのノードではsACNとArtnetの両方に対応していることもあり、これまでは個々のプロトコルの出力テストはしたけれども、両方いっぺんに受けてみようという事で、CongoJrというコンソールを使ってテストした。

 Luminexのノードはポートごとに、どちらのプロトコルのデータを出力するかが決められる。例えばポート1はETCコンソールからくるsACNのストリームを出力、そしてポート2はアートネットストリームのDMXを出力というようにである。つまりLuminexのノードはsACNのマルチキャストプロトコルとブロードキャストプロトコルであるアートネットをミックスしたネットワークでも問題なく機能するのである。

 ここで解説すると、ブロードキャストプロトコルというものは、同じネットワーク内にあるすべての機器にデータを送りつける。そして受けた機器はそれを必ず処理することになるため、データが大量になると、それを受信する機器のCPUに負荷をかける。(アートネットで10ユニバースとか20ユニバースなんてそもそもが、ほんのわずかですが...)そのため、かよわいノードだと、出力に遅れが出たり、機器がダウンしたりする現象が起こる。

 これに対応するため、アートネットの開発もとであるArtistic Licence社では、40ユニバースをこえるようなDMXを扱う場合は、一部をユニキャストで送ってほしいと言っている。ユニキャスト指定で送ると、特定のIPだけにしかデータが送られないため、個々のノードに必要なデータだけしか届かなくなり、装置の負担を軽減することになるのである。しかしいちいちユニキャストを指定するのも面倒だし、そもそも今の卓にそんな機能はないため、だれもやっていない。

 これに対し、sACNはマルチキャストプロトコルで、上記の点を解消したプロトコルになっているのだが、LuminexのようにどちらでもWelcomeな機器だと、そんなことは関係ないのである。そして「アートネットは重いからネットワークにも負荷をかけるとか、使えないプロトコルだと言い放つ人は、ネットワークの仕組みをまったく理解していない。そもそもマルチキャストもスイッチではフラッディング(全ポートに転送)するので、それはブロードキャストと何も変わりはないのである。

 さて、写真はsACNビューワーの画面と弊社のLuminetモニターの画面。Congoの設定は簡単で、sACNを出力するかしないかをオンにするだけ、Artnetは2.255.255.255の欄にチェックを入れるだけでよく、起動すると両方のプロトコルで同じDMXデータが出力されるようになる。PCは2.x.x.xのIPが振ってあるにもかかわらず、Luminetモニター上では、Artnetの送信もとアドレスが10.x.x.xのように表示されるのは、CongoのIPが10のネットワークアドレスになっておるところ、アートネットパケットは、2のネットワークIDへブロードキャストを行っているため。

こうしてやってみると、sACNとArtnetの混在は可能だし、何の問題もない。これはMAのプロトコルやその他のプロトコルを使用する場合も同様だと思う。そのうちにテストしてみようと思います。




固定観念の呪縛を解き放つ時

劇場の映像業務を担う人々にCongoとCatalystのトレーニングを行うという機会がありました。このきっかけは、あるオペラの公演でCatalystが使用されていたこととまた、そのコンソールが偶然、Congoであったことがきっかけだった。

 実はCatalystはバレエやオペラなど、劇場で行われる公演に利用されていることが多い。これはCatalystがその歴史の中で高い評価を受けているということもあるが、もう1つは他の装置に比べるとコストの面で導入しやすいという点が大きな要因だと思う。そしてまたそのオペラでCongoというコンソールが使用されていたのは、それが北欧の作品であったせいで、もともとCongoはAvabというSwendishの製品が故に、スカンジナビアの国々などで人気の高いコンソールなのである。

 その意味では、CatalystとCongoの組み合わせはレアケースで、UKを含むヨーロッパでは、その多くがGrandMA又はWholeHog3ないしはRoadHogになる。もちろんこれはHighendの影響が大きいのだが、これらのほとんどが照明さんであり、あちらの国々でも映像さんがバリバリ照明卓を打ち込んでいるのは珍しいことである。もちろんそういう特別な人たちがいることは確かだが、これは新しい分野と言ってもいいだろう。彼らの多くは大手の映像会社さんの仕事を請けてCatalystのオペレーターをやっている。

 照明卓を映像分野の人が受け入れるのにどういう障壁があるかというと、1固定観念による拒絶 2簡単な映像向けコンソールがない 3 映像を扱うことを主体に教える人がいない。の3点になる。これはどこの国でも同様の現象であり、映像分野と照明分野には大きな溝があることは、確かなようだ。

 しかし翻って日本の状況を見た時、この3つの問題をクリアして、Congoをバリバリ打ち込む映像会社がある。これは本当の話である。そしてまた、今回のケースのように、これまで典型的な映像分野にいた人たちが、偶然にもCatalystを導入することとなり、やがてはCongoでCatalystオペレーションを行うことになるのである。最初は確かに戸惑うかもしれない。しかし固定観念をすて、ステージの共通概念であるCueという単位で映像を管理するようになると、すんなり舞台の中にとけ込むことができ、そこには新しい世界が扉を開ける。でもまあ、こういう話はすでに5年言い続けてるので、もういいかなとも思うんですけどね。




物理トポロジーのリング

弊社では、劇場の照明用ネットワークシステムには、リング型のトポロジーがいいのではないか?と提案している。そうすると、イーサネットは「スタートポロジーが基本」だとか、リング自体は特殊なもので、スイッチを複数つなげることによる弊害を説く人がいるが、これはすべて誤解である。

 まず、弊社で提供しているリング型トポロジーは物理的結線がリングであって、そのリングの途中には、必ずバックアップパスという閉じられたポートがある。それ故、論理的に通常のパケットの流れはスタートポロジーと同じである。このシステムでは、リングがどこかで切れることにより、自動的にバックアップパスが開くことで、信号の流れが変わります。

 この動作はスパニングツリープロトコルを利用した一般的なバックアップシステムとまったく同様ですが、その切り替わりの速さがリングプロトコルの良さなのです。そしてこのエクストリームネットワークスが開発したリングプロトコルは、世界中のクリティカルなシステムで利用されており、重要な信号の基幹となる回線をリング状に組むというのは、音響のシステムも同様に行っている。例えば一般的なイーササウンドもコンソールとDSPなどをつないでバックッアップパスをコンソールに戻してループ状に接続する。

 つまりは、このリング型にスイッチをつなぐシステムは、鉄道のシステムや、データセンターの通信のほか、舞台の音響でも同様に利用されているなら、私は照明業界のスタンダードにしてもいいのではないかと考えたりします。これは反論もあろうかと思いますが、将来的に部分的にメッシュ接続を採用するにしても、まずはリング状の幹線はよい選択ではなかろうかと思うのです。このあたりのことは、今度のInterBEEにおけるチュートリアルセッションでも触れたいと思っています。





似て非なるインフラ

以前からLuminexのスイッチが音響のネットワークオーディオのプロトコル「イーササウンド」のページで紹介されていたことから、つい最近まで私は、通信インフラがイーサネットという共通基盤になるなら、イーサネットスイッチやケーブルなどは2つの異なる分野でも共通のものが使えるのではないか?と考えていました。

それ故、何年か前には、音響さんを訪ねて、イーササウンドでテストしてみたり、また音響さんに、弊社のスイッチが使えないか相談したりしたものの、どうにも反応は鈍かった。

 その理由のいくつかは、例えば音響の場合、ワードクロックという同期信号が必要で、それはオーディオのストリームとは別にしたいとか、またアンプなどの制御信号はVLANで別の系統で送りたいといった点のほか、照明とは異なり、コンソールからDSPまでのラインも含めて1つのシステムとなっており、照明のように、コンソールとムービングライト、それをつなぐラインのように別々のものを組み合わせることを嫌う空気がある。

 最近では、コンソールにスイッチも内蔵されており、コンソールから直接、光ケーブルやイーサコンのCat5eケーブルをつないで、DSPまでのラインをつなくようである。これはコンソール各社が1つのシステムとして提供しており、そこにサードパーティー製品が入る隙間はない。これが同じイーサネットを使うとは言え、まったく近づくこともできない大きなギャップなのだろうと思う。





2つの異なる分野に横たわる世界観の溝

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 そういえば、先週の土曜日になんとか時間を作りシーテックを見てきました。気になる4Kの映像については、遠い先の話ではなく、コンシューマーレベルでもやがて普及するのだろうなという感想を持ちました。やはりきれいですね。この高画質の追求は映像の場合、果てしないテーマなんですね。

 それからもう1つの最近のキーワードが立体です。上の写真は3Dテレビとかではなく、レンズを使って空中に像を結んで立体映像を表現する大画面の裸眼立体映像の展示です。これはすでにパイオニアさんが小さい表示装置でやってたので、驚きは半分なんですが、大画面で実現したのはすばらしいなと思います。

 最近はこの3D映像だけでなく、プロジェクションマッピングとか、多角的視点での映像演出といった空間演出としての映像という話題がネット上などにも出てきますが、この3D映像とやらを見ながら、舞台空間に求められる映像演出と、この3D映像を求める映像分野の人々との間にある溝がいかに深いかを感じます。

 この3Dプロジェクションにしろ、プロジェクションマッピングにしろ、これらは、映像を見せることのほうに目的があり、今のところ、その活用事例のほとんどが、演出の中に組み込まれた1パートではないことが多いと思うのです。どうしても見せるポイントが偏ってしまう。

 プロジェクションマッピングや3Dにこだわる人の場合、その多くが作った映像を見てほしい。単なる素材映像を使った表現じゃ嫌だとなる。それは映像作家であったり、映像世界のディレクターであるから当然で、その世界観とまた、空間全体をどう見せるか、美術や照明、衣装などに気をつかう舞台演出の人との意識の違いはかなり大きいのではないだろうかと想像します。

 昨日の記事に書いた石橋氏のように映像ディレクターでありながら、独自の世界観を表現するアーティストでなければ、もしかすると2つの世界を結びつけて、1つのデザインに昇華するのは困難なのかもしれない。


Catalystで新しい何か。。まだ内緒らしい

soseiza_b http://kyoto-ex.jp/program/soseiza/

 つい最近、うちの事務所を訪ねてきた石橋さんだが、どうやらきゅぴきゅぴが始動するようである。
「キュピキュピ」と言えば、あのエロティックでありながら、アートのような繊細さをもった映像とクールなステージパフォーマンスの融合だけど、どこか笑いを内包したフェティッシュな魅力というか、あの雰囲気、実は好きなんですね。非常に楽しみではあります。

今回の相談は、Catalystのオペレーションのことについてでしたが、いろいろと研究されていて、今回もこの公演で何か新しい挑戦をするようなので、とても行きたいのですが、残念なことに場所は京都。

ちょっと遠いかなあ〜今回は行けそうにないんです。でももし、近くの方で行ける方がいらっしゃるようなら、石橋さんのユニークなCatalyst演出が見れると思いますので、是非、ご覧になっていただきたいです。話を聞いただけでは、え?そんなことできた?という感じでしたが、実際にどう見えるのか?ステージを生で見たいですね。



新しくなったCrucial SSD

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 昨日は、久しぶりにMACPROのセットアップ、先月手に入れたSnowLeoの最後の末裔である。
そこに、最新のCrucial SSDを2発入れて、快適なCatalyst環境を構築してやろうという魂胆です。もちろん納品用です。

いつもながら、情報が遅れ気味の私ですが、Crucial SSDは知らぬ間に新しい製品に変わっていて、前のReal SSD C300の後継として、写真のM4が売られてました。以前よりも速度が向上し、リード時の最大転送速度は、415MB/s 速い。。その結果は今日のテストではっきりするでしょう。

今の時代、映像はファイルベースが普通で、コンピューターからの映像再生というのは、ごくごく当たり前な状況になった。そして解像度もHDが普通になって、4k、8Kへの挑戦になっていくわけで、今考えられる限界もやがては突破していくのは確実に思える。

5年前、SSDがでたばっかりの頃のあの高値と、また当時のInterBEEでうちのブースに来た人の反応が懐かしい。。今じゃこんなんですよ。技術の進化はすばらしいですね。





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