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トータルショーコントロール/(株)Mileruntechのブログ

2010年06月

メディアサーバーのゆくえ

来月には愛知でメディアサーバーについての話をすることになりますが、先行して今の状況を整理してみると、映像をリアルタイムに制御することで得られる映像演出の自由。これをイメージして誕生したメディアサーバーに、ムービングライトがつながり、デジタルライトの方向性が見えてきたあと、メディアサーバーは照明分野に特化したデジタルライトとしての方向性と、映像送出の1つの手法としての方向性、2つの流れが独立した感があります。  

当初、メディアサーバーは、LEDスクリーン等への映像送出に非常に有効な装置として、国内では電飾業界、そして照明業界にも広がりました。これはメディアサーバーがDMXコントローラーによる制御を必用とした点で、必然だったとおもいますが、今では、照明業界だけでなく、映像会社にも抵抗なく広がりを始めました。  

それは主にマルチスクリーンのブレンディング機能、そしてマルチレゾリューションの映像を扱うことが簡単だった等が大きな要因になったと思います。例えば、横長の細長いスクリーンに出す映像、いわゆる4:3や16:9の定型映像でないものを再生したり、スケーリングやアスペクトレシオの自由な変更など。。こうした特殊な映像を扱うのはコンピューターの場合、非常に簡単なことだった。そしてまた、今の映像コンテンツはコンピューターで作るために、データの受け渡しなどにおいても、スムーズな連携が可能となり、これらの特徴は映像業界にとっても歓迎すべきことだった。  

映像業界では、多くの場合、メディアサーバーという種類の製品を、以前から存在する似た機能の製品と比較し、これを評価した。例えば、BarcoのEncoreやVISTA systemsのSpyderなどのほか、ソフトウェアベースのWatchoutなど,レイヤー概念で複数の映像ソースを自在に出力することができ、マルチスクリーン構築の機能をもつこれら製品は、確かに一部の機能において、メディアサーバーが活躍できる分野ではあったが、実はこれらはルーツが異なり、求めるコンセプトもまったく異なるものだと言えます。  

これらはやはりプレゼンテーションなどの現場で、映像を扱うために開発されたもので、根本的にここで論じるメディアサーバーとは異なるものと言えるでしょう。それは言い換えれば、別にメディアサーバーでなくてもよくて、その意味ではメディアサーバーの活用というのは非常に難しいものかもしれません。それをどう使うかの目的がないのであれば、効果も薄いと言えるからです。  


舞台照明のイーサネットシステムについて Part3

 Part2からの続きです。今、まさに照明システムのネットワーク化が本格普及をはじめた。この数年でかなり現実的な状況になったと私は感じている。Part2でも書いた通り、ネットワーク化することで得られる恩恵はかなり大きなもので、先週、行われた照明家協会(NGC)の集まりでも、多くのユーザーはそれを再認識しているようだ。では、このイーサネットによる恩恵を受けるために、どんな設備を施すのがよいのか?という話。  現時点では光ファイバーを幹線に設置するのがベストになるだろう。カッパーケーブルではノイズの問題だけでなく、その進化速度が早く対応可能な伝送スピードにおいて不安が残るが、光ファイバーであれば、エンドデバイスを変更するだけで、こうした問題に対応できる。そして、弊社でお勧めしているSRSのリングシステムに代表されるように、光ファイバーを使用したネットワークの場合、ほぼすべてが、リング接続になる。高層ビルでも、都市間のネットワークでも、どこでもそうだが光ファイバーのスイッチでネットワークを組む場合、幹線の接続は環状の接続であり、1つの装置が故障したり幹線が切断されても、システム全体は自動的に流れを変えて、通信全体の停止を起こさないように作られるのである。  そして劇場に設置されるこうしたスイッチの場合、その切り替わりの速度が重要になり、またマルチプロトコルを常に使用するのでなければ、ルーターも必要ではなく、レイヤー2スイッチで十分だ。故にHopカウントがどうのと言ったディレイの問題はないし、(それよりもDMXそのものがもつ遅さのほうが問題になる。)通信の流れを高速に切り替えるスイッチが数珠つなぎで連結されて使用される。このリング接続のシステムは、例えばスタジアムの音響システムでも同様に使用される一般的なものだ。  このシステムで使用されるスイッチは、目的に合わせて数多くのメーカーの中から選択が可能だが、私がLuminexのSRSを推奨している理由は、SRSがファンをもたず、設定が簡単なシンプルなスイッチだからである。もちろん劇場内のサーバールームやクリーンな場所に設置されるのであれば、ネットワーク業界のそれなりのメーカーのものを選択するのだが、スモークなどが発生する埃っぽい舞台のフロントや、すのこ、シーリング等に設置するのであれば、ファンレスのスイッチが望ましい。ただ光ファイバーのスイッチになると、ファンレスのものを探すのが困難である。  そしてマネージメント機能がさほど、多くないものを選択すべきなのは、スイッチが多機能な場合、今の舞台の状況では専門家がいないと、そのスイッチの設定に時間がかかってしまう上に、また問題が発生した場合でも、同様に原因を探るのに、スイッチの多機能さが逆にあだになることもある。この難解さがまたユーザーがネットワーク使用をためらう理由にもなるだろう。  もちろん将来的に業界がこの分野で成熟してきたときは、幹線に配置するスイッチはマネージメント機能があったほうが、ログをとったり問題のポートを切り離したりできるために便利だが、今はまだシンプルなスイッチで十分だろう。これが私の考えである。そうすると、必然的に舞台業界を知った会社が作るイーサネットシステムを選択したくなるのであって、今後はもちろんLuminexだけでなく、幅広くさまざまなメーカーの製品が登場することを期待するのである。

舞台照明のイーサネットシステムについて Part2

Part1からの続きです。 今や劇場分野で進むネットワーク化だが、では具体的に何が可能になるのだろうか?  照明システムがネットワーク化された劇場では、コンソールを2重化し、またノードを2重化することが可能である。実はこれまでのDMXのシステムでは、スプリッターもD/A変換もコンソールも2重化されておらず、スプリッターが壊れると、すべてのDMXの送信がストップする可能性があった。これがイーサネット化されることで、ほとんどの装置が2重化されるのである。もちろん劇場のコンソールはCPUなどは並列で動作させていたが、コンソール自体を2重化するのは、イーサネット化でかなり容易になったのではないだろうか?  次に、イーサネットを劇場の各所に広げることで、どこからでもシステムの監視や変更ができたり、どこの位置からでも照明制御が可能となる。これにより調整室に行かなくても自分のノートPCからブリッジにあるノードにDMXを出力させることもできるだろう。こうしたことは管理者の負担を軽減することにもなるし、システムの管理,運営の面でも大きな利点があるはずだ。  そしてイーサネットの特徴である拡張性についても、ノードを追加していくことで、特別な工事を必要とせず簡単に拡張が可能である。DMXのチャンネルが不足して新しい回線を引く必要もない。単にノードを追加するだけなのだ。これは将来のシステム拡張の面でも同様で、スイッチを追加するだけでシステムが拡張できるのがイーサネットの良さである。  より具体的な話をするなら、外部からくる照明さんの対応においても、持ち込みコンソールをインプットノードに接続するかまたはイーサネットベースのコンソールならスイッチに接続することで、すぐに劇場のシステムを制御できるようになる。「システムに対する信頼の面で不安が残る」という意見は、見えないクローズドなシステムで運営しているネットワークだから、外部の照明さんが不安になるのであり、外部の照明さんも小屋の照明さんも誰もが知るオープンなプロトコルであれば、システムに不安をもつことはないだろう。なぜならすべてがオープンであれば、外部の照明さんでもシステムの完全制御ができるからだ。  また、機器の移動も、非常に簡単になる。それは単につなぐ口を変えるだけである。客席でプログラムしたあと、調整室やプロジェクタールームや客席後方などへ移動するような時も、ネットワークの口さえあれば、ケーブルをつなぎかえるだけですべてが完了する。加えて、ネットワーク対応のコンソールなら、デザイナー用のモニターや舞台袖にサブ卓をつなぐことも簡単にできるし、さらにはサードパーティーの開発するiPhoneソフトなどを使うと、WiFiでリモート制御も可能。DMXノードはネットワーク上のDMXをミックスする機能をもつため、複数のコンソールやリモートからDMX制御ができるのである。こうしてみても、これらの利点は、劇場の恒久的な設備にこそ大きな意味があるだろう。  そして最後に、イーサネットによるシステム構築の利点は、将来のプロトコルへの対応もスムーズだということだ。すでにコンピューターネットワークで普及が進んだイーサネットは、プロトコルの概念が階層化されており、インフラのハードを変更することなく、次世代のプロトコルへの対応が簡単に行われる。また将来的には1つのインフラ上で複数のプロトコルを使うことも可能になるだろう。機器情報をRDMを利用してコンソール側へ返すことも容易になるため、負荷側からの情報送信なども、一気に普及が進むようになる。これらがイーサネット化の利点であり、それはまさに今、進行中のものだ。 イーサネットによるDMXディストリビューションに使用する装置を作るメーカー ETC Luminex KissBox ENTTEC ELC PRG XLNT

舞台照明のイーサネットシステムについて Part1

 いまだ進まない照明業界のネットワークシステムの話になると、舞台照明用信号のネットワーク化は本当に必要なのか?また、どんな恩恵があるのか?という質問が必ず出てくると思う。なぜならすでにDMX512でデジタル化が完了し、また今の状況でなんら困る状況が見えないからだ。まして、ネットワークというのはインフラであり、これを変える事で劇的に明かりが変化するわけではない。果たしてネットワーク化は本当に必要なのか?ということを少し考えてみたい。  まずネットワーク化による恩恵は何かと考えるとき、システムの容易な拡張と変更、そして冗長化が可能なためにバックアップシステムを構築しやすいという地味なテーマが見えてくる。よくツアー業界で聞かれるDMXのスネークが細くなるとか、1本ですむという話ではなく、それは単にDMXのマルチユニバース対応ということよりも、システムとしてそれをどう活かすか?という本質があり、その本質は劇場の運営や劇場のシステムで最大の効果を生む。今の時点で、ツアー業界でネットワークシステムが普及しないことは、その現れである。  ネットワーク化の普及はコンソールが多チャンネル化に対応するためとまた、コンソール同士のフルトラッキングバックアップシステムを構築するのが容易であったがために、照明コンソールの分野からひろまった印象があるが、それはツアーマーケットの分野で目立つ現象であって、すでにETC社やADB社が長らく進めてきたように、ネットワークの原点は、劇場という箱にあり、ヨーロッパやアメリカの劇場のシステムでは、ネットワーク化が進んでいると言ってもいい。そして90年代にツアー業界から吹いた新しい風は、現代において逆向きになり、劇場のほうからネットワーク化は進み、その風がツアー業界に吹くようになるだろう。  

コンピューターの新しい時代の到来

c3fa3735.png  写真はLuminairのipadバージョンです。このipadというデバイスはAppleの囲い込み戦略のどまんなか的な存在ですが、(つまり、ipod, iPhone/iPodtouchに続く仕上げの大物)どこの批評家も言うようにMACの登場と同じくらい新しい戦略でもって生まれた製品。そしてこれまでと違うことは、Appstoreという流通チャンネルを伴い、ソフト開発者がユーザーに直販できる方法を提供することで、魅力あるアプリケーションを集め、この製品の魅力をさらに輝かせる仕掛けがあることです。 これをどう批判しようが、AppleはMACの頃から強力な囲い込みを行う会社だし、(OSを他のハードに搭載することを認めない)これは彼らの勝利に終わるのでしょうが、逆に言えば1社でソフトからハードまでを統合するからこそ魅力ある製品が誕生するのかもしれません。そして今回もまた長い期間続いたパーソナルコンピューターの形、ディスプレイ マウス、キーボードとOSの搭載された本体という無骨なものから、より家電的なものへ大きく脱皮させ、他の企業を追従させることに成功した。そしてそれは新しいコンピューターの時代を作る事になる。   今後、想像できるのはこうした流通チャンネルを利用してフリーもしくは安価なソフトが数多く登場し、われわれの業務環境も大きく変わることになるかもしれません。それが中間業者にとっては厳しい状況だとしても、間違いなくユーザーにとっては大きな利益になることでしょう。

BigLite with Christie

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以前、ドイツのメーカーにもこういう(V-Base)のがあったけれど、あちらはBarcoで、今度はCristieです。 BigLiteのムービングが使われているそうですが、BigLiteの日本ディーラーってえらいたくさんあるんですね。その割にあまり見ない気もしますが、このメーカーの誰でもいいよみたいな姿勢が伺えます。

このムービングプロジェクターは、デジタルライトというよりは単に動くプロジェクター的な印象で、こういうもろプロジェクターというのだと、映像さんも抵抗ないかも。。照明的というより映像機材な感じがします。 この機材の場合、ウーテーセーも絡んでいるようですので、やはりプロジェクションの延長路線なのは確かで、しかしながら、こういう例からも照明と映像の関わり具合が深くなっているのを強く感じませんか? http://www.biglites.com/


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